後見についての問題提起

 

日本での常識で物事を見ていると、ドイツの規則、法律の基本にある考え方に気がつかない事があります。老後を考えるに当たっても、そういう点での見落としがないか、気をつける必要があります。夫婦や家族が老後を見る、医療等についても代理で決める、という日本の慣習とは違うドイツの成人後見の制度は、私たち外国人もどうしても知らなくていけないものですが、法の実際の適用についてはドイツ人にとっても色々複雑な問題点があるようです。

 

2012年6月12日午前1時から、SWR放送のドキュメンタリーで放送された例は、様々な波紋を生んでいます。以下がその概略です。

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 万一に備えて自分の息子に代理人としての委任状を与えていたにも拘らず、A さんはある日突然、自宅からホームへと連れて行かれてしまった...。

仕事を辞めて母の A さんと義父の介護に専念していた息子さんは、警察が見守る中、見た事も無い職業後見人が母の行く先を決めるのを呆然と見るしか無かった。

後見裁判所は、骨粗鬆症の母親が骨折しているのを発見した派遣介護士の報告を、母親虐待の証拠と看做して、職業後見人をつけ、その後見人が母親をホームに入れる事を決めたのだ。

本人の意思に反し、母親はホームで亡くなった。

 

同様に息子がいるにも拘らず、職業後見人が付けられて、その後見人と弁護士が、共に多大な詐欺を働いている事が発覚した例等、成人後見(世話人制度)についての問題例が明らかになる。画像のLink